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ミヒャエル・エンデ『モモ』から見るデジタルネイティブの私たち
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ミヒャエル・エンデ『モモ』から見るデジタルネイティブの私たち

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師走も残り10日余りとなりました。
年末が近づいてきた今、少しのんびりしたお話をしようかと思います。

パソコンの時代もガラケーの時代も通り過ぎ、スマホもすっかり全世代に普及してきた今、多くの人はデジタルに慣れ親しんでいます。
通販では物が、ネット検索やSNSでは溢れんばかりの情報が、なんでもすぐに手に入る時代になりました。

情報でも、物でも何でもすぐに手に入る。
無駄な時間はなくなり、手に入らないものもない。
それなのに私たちは何故かいつも「忙しい」「時間がない」と呟いてしまいます。

ミヒャエル・エンデの『モモ』はそんな、「時間がない」デジタルネイティブの私たちが今一度読んでみたい小説です。
『モモ』は対象年齢が10~12歳の児童文学ですが、大人も楽しめる児童文学、というよりむしろ大人に向けた作品なのではないかと私は思っています。

物語の舞台はローマを思わせるような円形劇場。
そしてそこに住む女の子モモとその友人たちが穏やかな日常を送っているある日、街に「時間貯蓄銀行」と称する灰色の男たちが出現します。

「時間の倹約のしかたくらい、おわかりでしょうに!たとえばですよ、仕事をさっさとやって、よけいなことはすっかりやめちまうんですよ。ひとりのお客に半時間もかけないで、十五分ですます。むだなおしゃべりはやめる。年寄りのお母さんと過ごす時間は半分にする(後略)」

6章 インチキで人をまるめこむ計算

灰色の男たちは時間をお金になぞらえて、時間を貯蓄して「時間貯蓄銀行」に預けると利子がつくと言います。
利子が利子を生む構図により、手元の時間は擦り減り、同時に大事なものも擦り減っていく。

時間とは、すなわち生活なのです。そして生活とは、人間の心の中にあるものなのです。人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそって、なくなってしまうのです。

6章 インチキで人をまるめこむ計算


今の私たちは何でも手に入る時代を生きています。
物にあふれ、情報にあふれ、多くのコンテンツが溢れかえります。
それらをすべて「コスパ良く」飲み込みたい。
そのために無駄を徹底的にそぎ落とし効率化を追い求めてしまうから、いつも忙しなくなってしまう。

私たち自身が豊かに生活するために生み出されているはずのあれもこれも、結局は私たち自身を貧しくしてしまっているかもしれない。
そう思うとその皮肉さに少し身震いがすることもあります。

「時間がない」原因は、私たち自身の立ち振る舞い、世界との向き合い方にあるのかもしれませんね。

私たちの生活を豊かにするために生み出されたものに振り回されないために、ちょっと我儘になってみるのも良いかもしれません。

例えば、周りの話に合わせるために流行りの映画を見るのをやめる、だとか、SNSやニュースを見るのをやめてみる、だとか、株価の乱高下を見つめるのをやめてみる、だとか。

そんなことしたら仕事や周りとの関係に支障が!と思う方もいらっしゃるかもしれません。でも年末年始のほんの数日、そうやって過ごしてみるのも良いのではないでしょうか?数日くらい、いいですよね。



年も暮れ、寒い日々に悲しいニュースが体を蝕みますが、あったかい毛布にくるまってぬくぬくと我儘でいましょう!

今年1年、拙い文章を読んでくれた方々、ありがとうございました。
それではまた来年、お会いしましょう。

ぺぺ

参考
『モモ』ミヒャエル・エンデ(作)、大島かおり(訳)、岩波少年文庫



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